こだわりの商品を作る物語 伝統を継ぐ物語

藍染作家 AIGOTO

受継がれてきた家業を少しでも継いで残していきたい。

藍染め瓶

福岡県筑後市は、久留米絣(かすり)の工房がアチコチに在る織物の一大産地です。
それでも、どんどん減少していく絣工房。
特に手織りの絣工房はわずかになってしまい、その内の一つである「緒方かすり工房」では現在、伝統的な久留米絣の他に、娘の末續日富美さんが「AIGOTO」というブランドで藍染めの品をつくっています。

久留米かすり

久留米絣 くるめかすり

久留米絣はまず、織りあげる模様を想定して糸を括り(くくり)染めます。
そうすることで、糸が染まってない部分が出来、糸自体に模様ができるのです。
経糸、横糸を図案通りに染め、ずれないように織り上げる。
何十もの繊細な行程を経て、仕上がる久留米絣は日本三大絣の1つにあげられ、「本藍染め」「手括り」「手織り」という伝統的な手作業で作られた久留米絣は「重要無形文化財」に指定されているほどです。

久留米かすり

緒方かすり工房は、この手作業を「括り」「染め」から「織り」「仕立て」まで一貫した制作にこだわり続けています。

末續さん:
「私が小さい頃は、織人さんも沢山いて工房は賑やかでした。
今は、皆さん年をとられたのもあるし、数名の方に好きな時間に来ていただいてるだけなんです。
本当は絣を受継ぎたい気持ちがあるんですけど、うちは手織りでやってきて、それを1人で継ぐというのはとても難しいんです。
それに、手織りの絣はどうしても手間の分だけ値段も高くなってしまうから、誰でも気軽に買えるものではなくなってきてるんですよね。」

全部は無理だけど、少しでも家業を継ぎたいし、久留米絣を知ってもらいたい。
工房で使われている藍瓶を使い、絣と同じ藍染めをまず知ってもらい、ゆくゆくは絣を知ってもらえれば…
そう考えた末續さんは、藍染めを勉強して『AIGOTO』を生みだしました。

重要無形文化財
重要無形文化財に指定されている 緒方かすり工房の久留米絣の模様

末續さんが小さい頃から慣れ親しんできた藍染め。
それでも大変な作業は多く、お父さんやお母さんと共に藍液の世話をしています。

「藍は生きているんですよ」と末續さんは言いました。
日本の藍染めは、タデ科の植物を発酵させて藍液を作り、そこに染める布を浸します。
藍液を調子良く発酵する為に、砂糖や苛性ソーダなどを混ぜ、温度を年中20℃前後に保ち、毎日瓶の藍液を撹拌して世話をしないといけません。
藍液は瓶の中では茶色です。これが空気に触れて酸化することで綺麗な青色に染まっていくそうです。
染める前にまず、藍液の様子を見て調子が良いかを舐めて確かめます。
それは本当に「いきもの」に接して具合を見ているようでした。

末續さん:
「藍液の調子が良くない時は、全然染まらないんです。
『藍染め』というのは、そんなに難しいことではないんですね。
もちろん、何通りも染め方があって、複雑で難しいモノもありますが…
ただ、染めるということだけなら根気さえあれば出来ます。
良い藍液を作ることが難しいんですよ。
毎日の撹拌は両親と交代でやっていますが、藍液そのものの調整はまだ両親にやってもらっています。」

藍染め
瓶(かめ)の藍液の状態を1つ1つ確かめます。

藍染め
通称「藍の花」。藍の発酵が調子良いと泡がたくさん出来ます。

藍染め
染めない場所を板で挟んで藍液に浸けます。
ボーダーやチェックはこの手法で模様を作ります。

藍染め
瓶(かめ)から出した直後は、こんなに茶色。

もちろん、藍液にただ浸けておけば染まるというものではありません。
いくつもある瓶の中は濃度が違う藍液が作られていて、薄い液から浸け始め、徐々に濃い液に浸けていくそうです。

末續さん「いきなり濃い液につけても綺麗な藍色にならないんです。」

白い布の染める所以外は色んな方法で藍液が染み込まないようにして、瓶(かめ)に入れていきます。
それもあんまり大量に布をいれるとうまくいかないので少量ずつ。

「たくさん染めようとすると藍が疲れちゃうからですね。」

しばらく浸してから、布を取り出し藍液を絞って空気に触れさせて青色にします。
最初は薄い青。
瓶から出した瞬間は茶色い布もみるみるうちに青に変わっていきます。そして、また瓶の中に戻します。
その行程を何回もひたすら繰返す末續さん。

藍染め
空気に触れていくと直ぐに青色に変化していきます。
藍液を絞り、重なってる場所もムラなく空気に触れさせます。

末續さん:
「きれいでしょう? 水に浸けて洗った時はもっと青色がキレイになるんですよ。
水中の酸素が満遍なくいくからでしょうね。もう本当に綺麗!
染まり上がりも綺麗になるんです。
(空気にさらす行程は)通常10回くらいで染まるんですけど、私は深い藍色を出したいので17,8回繰返します。」

藍染め
水につけると、より鮮明な青色に。

通常のほぼ倍の行程をこなすため、作業は一日がかり。
順に藍液に浸けて空気に触れさす行程の間も、次の染める素材を洗って表面の糊などを除く作業など、末續さんの作業は休むひまがありません。

末續さん:
「行程を減らせばイイんでしょうけどね(笑)どうしても(自分が納得のいく)綺麗な藍に染めたいからですね。」

藍染め
染める時間を変え、トーンを生かしたパターンも。


【関連する記事】
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緒方かすり工房
福岡県筑後市大字久富1651(MAPあり)
TEL 0942-52-2871
公式HP http://ogatakasuri.com

工房見学や藍染体験、小売も行っております。
お近くにお寄りの際は、ぜひお立ち寄りください。
※工房見学、藍染体験は事前にお電話ください。

 


AIGOTO GAUZE
【本藍染めと国産ガーゼ 通販ページ】

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チクチック

地域・地方の魅力は、そこで暮らし営む「ひと」の魅力だと思います。
その魅力は日本中、世界中にありますが、まずは自分たちが暮らす福岡県ちくご地方に目を向けました。
そして、市町村単位ではなく、自分たちが日常的に気軽に行動できる、例えば車で1~2時間で移動出来るような、もっと感覚的に大きなエリア。
「自分の地元」と言えるようなエリアを自らの足を使って取材する形で発信しています。

地域の読みものとしてのWEBマガジン「チクチック」を担当している
オガワが取材に行ったり、イベントで見たり、お店で聞いたことを記事として書き留めてます。