おいしいお店の物語 こだわりの商品を作る物語

杏里ファーム

福岡県柳川市で、自社の果物を使った
ジェラートやアイスキャンディーを製造する農家さん。

杏里ファーム

果実や花のハウスと沢山のヤシの木がそびえ立ち、水郷として有名な柳川とは思えない南国の雰囲気が漂う杏里ファーム
取材に訪れたGW前は、その風景を何十もの鯉のぼりが泳いでいました。
前日夜に大雨が降ったあいにくの曇り空だったため、この地方特有の武者のぼりが降ろされていましたが、青空の下のぼりがはためき鯉が泳ぐ様は、きっと爽快な光景が広がってると思わせてくれました。

「女の子の祭りを祝って、男の子の祭りを祝わんわけにはいかんでしょう!」

そう楽しそうに話す社長・椛島 一晴さんの発案で今年始めたそうです。

杏里ファーム

毎年、柳川の風物詩となる雛祭りの期間(2月中旬〜4月3日)の「さげもん巡り」では、杏里ファームのハウス内に巨大な「さげもん」やひな壇が飾られ、観光客の人気を呼んでいます。
そして今年、一晴さんのアイデアで始まった鯉のぼり飾りを聞きつけ、沢山の人が
「うちで眠っている鯉のぼりも飾って欲しい」
と、杏里ファームまで持ってこられたそうです。

沢山の人の善意で予想以上に鯉のぼりと武者のぼりが集まり、それらを片付けたり出したりする大変な作業は一晴さんのお仕事。

「どこにも告知してないから、これ目当てに人が沢山来ることはないけど、朝、鯉のぼりが泳ぐ風景を見て自分が楽しい(笑)
自己満足ですよ(笑)楽しいからやってる。」

杏里ファーム
杏里ファームのアセロラ。もちろんジェラートやアイスに使われています。

あくまでも「我々は農家で農業をやっている」と言う椛島さんたちは、米、麦、大豆、家畜のエサを主に作っています。
杏里ファームのHPに行くと「椛島農家」のお米も通販しています。

「ずっと果樹ってワケじゃないんですよね。
 本当は、(今年減りましたが)米で年間500俵作ってます。
 敷地面積でいうと7町くらいは米。
 麦は17町くらい、それに大豆が6町くらいやってます。」

(※1町=約1ヘクタール)

杏里ファーム

法人化して10年、杏里ファームにあるハウスを建てたのが7年前。

「ドラゴンフルーツで始めて、それを使ってアイスクリームを作ったのがとっかかりです。」

(奥さま)栄子さん:「(始めの)1年は青果として売り出したね。」

「青果で販売すると収穫時期が一遍に重なるじゃないですか。
 そうすると、そんな量をなかなかさばききらんとですよ。
 販路も何も持ってなかったから。
 『なるやろうか?』って作ったところ、初年度から(実が)なったからですね。
 それなら『加工に回した方がいいね』って。
 アイスクリームの製造許可取って、工場建てて‥ あ、工場が先か。」

「アイスの製造が奥深く、厳しいものとは全然知らなくて。
そしたらですよ、先に!マシンと工場が…(笑)」

カバ印ジェラート

お役所の製造販売許可を得るためには、工場の管理や施設の内容など厳しい審査を通らないといけません。

「乳製品は(審査が)とーっても厳しいんですよ。
やっとまぁ出来上がって、ドラゴンフルーツからジェラートを出してましたもんね。」

ジェラートを作り出した当初、(現在の)杏里ファームのハウス内のカフェテリアにあるログハウスがお店でした。
アイスキャンデー屋さん「椛島氷菓」がある前、農協の敷地の一角を借りて営んでいました。

「ドラゴンフルーツのジェラートは結構人気あったんですよね。珍しいから。
柳川の観光地でやってたので始めた頃は『ここはどこだろう?』というくらい人が多かった。」

ジェラートを始めて2〜3年は、夜なべして作らないといけないくらい売れたそうです。
しかし、東北大震災が起こり、観光客が減ったのをはじめ売上げもどんどん厳しくなっていきました。

「農業もあるし‥と、思っていたところにカバ印のデザイナーである浅羽さんと出会って。
 浅羽さんの奥さんが、こういう(カバの)キャラを生みだしてくれて。」

杏里ファーム

半年間でお店までもってった(笑)

九州ムラ市場の店長をしている中野さんから「アイスキャンディを作ってくれんですか?」と提案がありました。

「冷凍設備を持っていたので、200~300の少量ならその時あった機材で作れたんですよね。」

試作としてムラ市場で試験的に販売した年度、オープンを控えた博多阪急での50日間の催事に出店依頼があり、そこからカバ印のアイスキャンデーが全国に飛んでいったのです。

「珍しいっていうか、当時まだ福岡県下でアイスキャンデーを作っている業者が(自分たちの知ってる範囲で)2軒しかなく、自分たちで販売をしてなかった。
うちの場合は、アイスクリーム製造販売許可を取ってたから、とっかかりが早かったんですよ。」

アイスキャンデーの話が出たのが9月。
その日のうちに試作をし、1週間後にはキャンデーマシンを見に四国へ飛んで買い付けてきた一晴さん。
10月にはキャンデーマシンが工場に入り、1月から古民家を改装し、2011年2月のあたまには椛島氷菓のお店をオープンさせていました。

杏里ファーム

「(キャンデーマシンは)トラクター買うより全然安いとですよ。
 だから、とりあえず買っとこうと。」

「そういう感じだけど(笑)」

「考えても一緒じゃないですか。
やるならやる。やらないならやらない。ダメな時は辞めたらイイじゃないですか。
だから、辞める予定やったとですよ?
震災以降、売上げがガターっと落ちて『今年いっぱい。年内売れなかったら辞めよう』って言ってたら、アイスキャンデーの話がきて、これで売れんかったら辞めるぞ!と。
何かわからんけどトントコトントコ(笑)右肩上がりです。」

一晴さんの行動力と対応の早さ、そして出会いが農園が作る「カバ印」のジェラートとアイスキャンデーを生んだのです。

「従業員には言ってます。『即、対応しなさい。』と。」



杏里ファーム
杏里ファーム
(農産物・アイス等の直売・温室カフェ)
〒832-0089
福岡県柳川市田脇524-1(MAPあり)
TEL 0944-73-8120
OPEN 10:00~17:00
水曜定休

公式 website http://www.yokaocha.com


椛島氷菓
椛島氷菓
〒832-0061
福岡県柳川市本城町53-2(MAPあり)
TEL 0944-74-5333

公式 website http://www.kabajirushi.com

About the author

チクチック

地域・地方の魅力は、そこで暮らし営む「ひと」の魅力だと思います。
その魅力は日本中、世界中にありますが、まずは自分たちが暮らす福岡県ちくご地方に目を向けました。
そして、市町村単位ではなく、自分たちが日常的に気軽に行動できる、例えば車で1~2時間で移動出来るような、もっと感覚的に大きなエリア。
「自分の地元」と言えるようなエリアを自らの足を使って取材する形で発信しています。

地域の読みものとしてのWEBマガジン「チクチック」を担当している
オガワが取材に行ったり、イベントで見たり、お店で聞いたことを記事として書き留めてます。