文化を育てる物語

三池カルタ・歴史資料館

福岡県大牟田市、日本カルタ発祥の地とされる町の「カルタと歴史の資料館」

三池カルタ資料館

日本古来のカルタや海外のトランプ・タロットのほか、古代から近代に至るまでの様々な郷土の歴史資料もあわせて展示している大牟田市立三池カルタ歴史資料館。
大牟田市立図書館との複合施設で「カルタックスおおむた」という建物内にあります。

梶原 伸介館長:
「カルタ(カード)に特化した資料館は日本にはここにしかなく、海外や国内の遠方から専門家も来られますよ。」

カルタをはじめカードゲームをしたり、カルタにまつわる本(ちゃんと「ちはやふる」もありました 笑)が読めたりするスペースもあり、近所の小学生が遊んでいて、慣れた手つきでキチンと片付けて帰ってました。
専門家から子供まで、いろんな人が楽しめるようになっています。

梶原館長:
「カルタは、絵と文字の両方で成り立つのでコンパクトな教材にもなるんです。
 いろはカルタ、ご当地カルタ、歴史カルタ‥など、カルタを通じて子供たちが覚えます。
 最近充実しているキャラクター物のカルタは、大人のコレクターもいます。
 子供からおじいちゃんおばあちゃんまで、あらゆる世代が楽しめるツールなんです。」

昭和トランプしおり
毎月面白いカードコレクションが登場する「今月の逸品コーナー」
これは、トランプとしおりとブロマイドという3役兼ねた「トランプしおり」
「今では考えつかない発想です(笑)」

ポルトガル船
カード=カルタが伝来した風景。
大航海時代のポルトガル船内をとてもリアルに再現してます。

カードの歴史

ヨーロッパの主な国のカードの比較や、大航海時代に各地に広まった時の絵柄の変化。
そして、東の果ての日本に伝わり作られたカード=カルタ(ポルトガル語)。
現在のハートの元になってると言われる「聖杯(聖職者を表すマーク)」は宗教が違うアジアに渡ってパイナップルのように描かれていますが(「たぶん聖杯が何かわからなかったんじゃないですかね?」)、日本に来るとまた聖杯に近い形で描かれていたり。
シンプルな線で描かれていた絵札が日本に来るとカードも小さく、とても細かい図柄になってたり。
時代だけじゃなく、土地柄、文化も反映されているのが、見比べることでよくわかります。

そうして日本に伝わったカードを元に、ここ三池地方(現在の大牟田市)で作られたとされる天正カルタが日本最古の記録とされています。
カルタ現物は兵庫県芦屋市の滴翠美術館に1枚だけしか残っていませんが、版木が見つかったため復刻版の天正カルタ全48枚を見ることができます。

「賭け事に使われるカルタ、花札は風紀を乱すとして禁止されてきた時代があり当時のモノはほとんど残っていないんです。
ただ、秀吉の朝鮮出兵の時に「カルタ禁止令」が出されたという記録などは残っています。
ということは、禁止しなければいけないほどカルタが流行っていたということがわかるんです。」

昔の筑後の名産品リストに鯉、海茸、紅花などと並んで「三池賀留多(カルタ)」が挙げられている記録もありました。
そして、その三池カルタ=天正カルタを元に、日本で独自のカードが発展していきます。
花札も、禁止令が出た事で「数字が描かれてない世界に唯一のカード」となりました。

貝覆い

カルタ伝来以前の日本の遊びも紹介しています。
平安時代の貴族の遊び「貝覆い(貝合わせ)」を元に作られた「貝型源氏歌カルタ」は日本でもココにしかないそうです。

「これは、文字の並びが順ではないんですよ。
 貝の形に美しく入るのが重要視されてて読みやすさは二の次だったようです。」

いろはカルタ

江戸時代、庶民に普及した「いろはカルタ」も上方と江戸で比較できる展示。
土地柄が反映されていて(時代も100年あいてるそうです)、読むだけでとても面白いです。

「””の『月夜に釜をぬかれる』この句だけが上方と江戸で唯一共通してる札なんですよ。
 後の札はすべて違います。
 子供達がこれで文字を覚えたり、教訓を覚えたりしてたんですね。」

ちなみに、上方と江戸を見比べやすい「いろはカルタの一覧表」も配っています。
※館内撮影は禁止です。(今回は許可を得て撮影しております)

カルタ資料館
歴史資料館でもあるので、カード以外の郷土資料も展示されています。
年に4回企画展を催すので、その時しか見れない貴重なコレクションも。
(それ以外の特別展示もあります。取材の時は奥のドラえもんがそうでした)

ドラ一首
文字も絵柄もしっかりあるカルタを隅々まで見るため、長時間滞在するお客さんも多いとか。

「『トランプ』っていうのは和製英語なんですよ。外国では通じないんです。
本来は『切り札』という意味だった『トランプ』を明治時代の貿易商が『カード』の呼び名だと思って訳し間違えたそうです。」

梶原館長は、カルタ(=カード)の歴史や種類に詳しいだけではなく、カードを通じて見える歴史や文化の話もしてくれました。

「カルタは作られた当時の時代背景をとてもよく反映しています。
 最近は『ご当地カルタ』がたくさん出ています。
 それも、地方に目を向けた今の時代を表していますよね。」

「じゃぁ、バブル時代を反映したカードとかあるんですか?」

「バブル時代… あ!全部テレフォンカードで作ったトランプとかありましたよ(笑)
トランプの表面に金箔が貼られてたり(笑)」

カルタ
カルタの販売もしています。一目惚れして買った「ととあわせ(神経衰弱のようなカードゲーム)」は漢字の勉強にもなり、絵柄も見事なので飾っておきたいほど。

「カルタは今でも毎年新しいのが作られていて、ウチも所蔵してないモノも沢山あります。
限定版など、すぐ売り切れて買えないほど人気のモノもあるんですよ。」

三池カルタ・歴史資料館では常設展示の他に、1万点以上所蔵するコレクションから特集して展示したり、三池地方にゆかりのある歴史の資料を展示する企画展を年に4回行っています。

「去年は鉄道会社と提携して『のりものカルタ展』を開催しました。
夏には戦争と平和をテーマに、戦時資料や当時のカルタの展示をしてます。
季節ごとに展示が変わるので、リピーターにも楽しんでいただけてますね。
今年はスーパー戦隊シリーズ誕生40年を記念して、歴代のライダーや戦隊物のカルタを展示しようかと計画中です(笑)。」

遊びと教養とコレクション心をくすぐるカードゲームは、400年以上経つ今も進化を続け、世界中の様々な世代の人を魅了しつづけていることがわかります。
そして、子供だけじゃなく大人も、かつて遊んだカルタの面白さを思い出し、新たなカルタ(カードゲーム)の魅力を教えてくれる資料館です。

企画展以外にも、カルタ大会、歴史のイベントや講座も開催されています。
梶原館長のお話が聞けるミュージアムガイドの日もあります。
詳しい日程などは、三池カルタ・歴史資料館の公式HPをご覧ください。


三池カルタ資料館
〒836-0861
福岡県大牟田市宝坂町二丁目2-3
「カルタックスおおむた」2階
TEL/FAX 0944(53)8780
URL:http://karuta-rekishi.com/

営業時間: 午前10時~午後5時
休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)・毎月最終木曜日(祝日の場合は翌日)・年末年始(12月29日~1月3日)
*臨時休館あり

駐車場:図書館と併用のため、台数に限りがございます。
なるべく公共の交通機関のご利用をお願いいたします。

 


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About the author

チクチック

地域・地方の魅力は、そこで暮らし営む「ひと」の魅力だと思います。
その魅力は日本中、世界中にありますが、まずは自分たちが暮らす福岡県ちくご地方に目を向けました。
そして、市町村単位ではなく、自分たちが日常的に気軽に行動できる、例えば車で1~2時間で移動出来るような、もっと感覚的に大きなエリア。
「自分の地元」と言えるようなエリアを自らの足を使って取材する形で発信しています。

地域の読みものとしてのWEBマガジン「チクチック」を担当している
オガワが取材に行ったり、イベントで見たり、お店で聞いたことを記事として書き留めてます。