おいしいお店の物語 文化を育てる物語

コーヒーサロン はら

炭坑の街だった大牟田市で文化の大切さを繋ぐため、日本フィルハーモニーを大牟田に招待し続ける店主・上野さん。

2013年、福岡県大牟田市で50周年を迎えたコーヒーサロン「はら」。
カウンターとテーブル、昭和の純喫茶の面影を強く残したお店を1人で営む店主の上野由幾恵さんには、「大牟田日本フィルの会事務局長」を設立時から務めている、もう1つの顔がありました。

コーヒーサロンはら

大牟田駅前商店街、百貨店跡地の前のビルの狭い階段を2階にあがると「はら」の50周年を祝うお花が沢山飾られていました。
店主の上野さん曰く、現在のお店は2店舗目だそうです。

コーヒーサロンはら

上野由幾恵さん
「同じ大牟田市にお店があったのだけど、火事で全焼してしまったの。
(クラシックの)レコードも3000枚以上が燃えてしまって。
その当時の私の年齢は『引退するには早いし、再スタートするには遅い』という中途半端な年齢だったから、店を再建するのを迷っていたら、常連客のみなさんが私に内緒でお店の物件を探してくださってね(笑)
1階だと外の雑音が入るから…2階のこんな奥まった場所でって。」

お客さま達に長く愛され、大牟田に無くてはならないお店となった「はら」には、コーヒーを飲んだり、コンサート情報を聞きにきたりと色んな年代の方々がそれぞれの時間を楽しむために来られます。

コーヒーサロンはら

生のクラシック音楽を大牟田に

今年(2014年)で39回になる日本フィルハーモニー九州公演。
7県の県庁所在地の会場に混じり「大牟田文化会館大ホール」と書かれています。

上野さん
「大牟田市に文化会館を造るって話が出た時に、『コンサートを呼べる劇場にしてほしい』って市民で訴えたんですね。それが受け入れられて、足音が響かない絨毯敷きのコンサートホールが大牟田に誕生したの。」

文化会館大ホールのオープニングからオーケストラを呼んでいるそうです。
日本フィルで演奏している「コーヒーサロンはら」のお客さまだった方から
「博多や久留米とか近くまで来るのに大牟田は公演がないから呼んで欲しい」
と云われたのきっかけに、上野さんが中心になって動き「大牟田日本フィルの会」を設立。
以降、日本フィルを大牟田に招き続けているのです。

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上野さん
「音楽は好きでも運営はしたことがないから、(事務局長の仕事を)始めはことわり続けてたんですよ。
経費を計算したり、チケット代を計算したり、公演項目を決めたり、どの指揮者を呼ぶとか…私にはとても出来ませんって。
でも、九州の各事務局の人が集まって皆で決めるから、1人じゃないなら私でも出来るかと思って引き受けることにしたの。」

大牟田市は九州公演12回目の途中から参加しており、来年で27回目の公演になります。
中には、久留米市のように事務局長を引継ぐ人がなく公演がなくなってしまう街もあり、どこの市も事務局長の後任問題が深刻になっているようです。

純喫茶のサンドイッチ
たくさん種類があるコーヒーはもちろん、昔ながらの喫茶店メニュー・サンドイッチも絶品。

グランドピアノをはじめ、店内のあちこちにクラシック音楽関連の物が飾られている「コーヒーサロン はら」。
日本フィルの公演だけではなく、様々なコンサートのチケットも上野さんは取り扱っています。

「チケットを売る大変さをよく知っているから、(持ってこられると)断るなんて出来ません。」

大小の規模に関係なく、大牟田でクラシックに携わる人々を大事にしている上野さん。
はら店内でも月に数回、サロンコンサートが催されています。

「『生の演奏を整備された劇場で聞く』その経験がとても大切なんです。
次の世代にも経験してほしい。文化的なことに触れると心が豊かになるから。」

その想いの強さが、上野さんをはじめ大牟田の人々を動かし、クラシックコンサートの大牟田公演が続いているのです。

2013.12 取材


コーヒーサロンはらの物語 その2


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〒836-0046
福岡県大牟田市本町1丁目2−19
(MAPあり)
TEL 0944-53-0430
OPEN 10:00~22:00 定休日なし

コンサートに関するお問合せも
コチラにお願いいたします。

 


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About the author

チクチック

地域・地方の魅力は、そこで暮らし営む「ひと」の魅力だと思います。
その魅力は日本中、世界中にありますが、まずは自分たちが暮らす福岡県ちくご地方に目を向けました。
そして、市町村単位ではなく、自分たちが日常的に気軽に行動できる、例えば車で1~2時間で移動出来るような、もっと感覚的に大きなエリア。
「自分の地元」と言えるようなエリアを自らの足を使って取材する形で発信しています。

地域の読みものとしてのWEBマガジン「チクチック」を担当している
オガワが取材に行ったり、イベントで見たり、お店で聞いたことを記事として書き留めてます。