こだわりの商品を作る物語 伝統を継ぐ物語

矢部屋 許斐本家

「八女茶」の名付け親である九州最古の茶商。

八女市本町にお店を構えて、来年で150年を迎える「矢部屋 許斐本家(やべや このみほんけ)」
茶舗としては九州最古の建築物となる店舗の中はお茶の史料館にもなっており、八女茶の奥深さを色んな方面から知ることも出来るお店です。

許斐本家

十四代目・許斐健一さん:
茶商っていうのは、ソムリエみたいなものなんです。
どの畑からどんな茶葉が出来るか全て把握していないといけません。
そのデータは代々受継いでいます。
そして時には、品質向上のために栽培の仕方まで指導します。
茶商はまず頭の中で味を組み立て、それからお茶を作るんです。」

許斐本家許斐本家
浅煎りの焙じ茶をアイスでいただきました。

江戸宝永年間(1704~1710年)、現在の八女市福島地区に木材、楮(こうぞ)、茸、茶などを扱う山産物商として初代・許斐甚四郎が始めた「矢部屋」は幕末の慶応元年(1865年)に現在の八女市本町へ移り、茶に特化した専門問屋になった許斐家は、この地域のお茶の品質向上と量産に努めました。
明治期には初代・久吉(九代目)が「筑後茶」「星野茶」「笠原茶」「黒木茶」など細かい地域名で呼ばれていたお茶を1つにまとめ「八女茶」と名付けたのです。

許斐本家

茶商の看板だった「日除け」

矢部屋 許斐園さんの入口の左側には不思議な出っ張った木の壁があります。
この壁の内側にはお茶の「拝見場」と呼ばれる部屋があり、この壁はお茶を審査するために必要な「日除け」なのです。

許斐さん:
「晴れの日も、曇りの日でも同じ明るさになるようになっています。(板の)角度も板の比率も計算して決まってるんですよ。」

日中変わらぬ光量の環境でお茶を見れるということは、審査や生産者に助言をおこなって品質向上に務める茶問屋にとって、とても大切なことであり、お茶の品質が対外的に保証されることから「日除け」は茶商の看板となっていきました。
矢部屋 許斐園さんの日除けは、今から100年前、大正時代に造られたとされているもので戦時中一度取り払われていたのを2012年に復元されたものです。
現在「日除け」が完全な形で存在するのは矢部屋 許斐園さんだけになり、『サインデザイン奨励賞』も受賞しています。

許斐本家

現在、少しずつ店舗を改装している矢部屋 許斐本家。
「日除け」や「拝見場」だけではなく、接待場や作業場も改装し、お茶の史料館やカフェなどにしてもっと広く八女茶の歴史を知ってもらえるようにしていくそうです。
その工事で見つかった歴史的に貴重な品々もあります。
明治時代にロシアに八女から紅茶を輸出していた証拠となるロシア語ラベルの紅茶箱も日本で初めて発見されました。

「少しずつ工事をしていると、色んな所からでてくるんです。」

九州で一番古い茶商の歴史を持ち、150年前に建てられた店舗を守り受継いできた許斐家だから出来る八女茶の歴史の伝承。

「僕はもっと戦前の日本の歴史を皆さんに知ってもらいたいんです。」

許斐本家

150年もの歴史の中には、もちろん大変な時期もありました。

許斐健一さん:
「戦後は大変だったと聞いています。昭和28年までお茶は規制がかかって販売が自由に出来ませんでした。
闇市などで売って儲けた方もおられますが、うちは(お茶の協会の)理事をしていたので闇市で売るわけにはいかなかった。
戦後で自分の店も混乱してるのに、混乱した協会の理事を任せられるのは相当大変だったと思います。
私の大叔父‥祖父の兄だったんですが、相当苦労したからでしょうね。
若くして亡くなった後、祖父が継ぎました。」

許斐本家

そんな大変な話を聞いて、すんなり後を継ぐ気になれたのかを許斐さんに尋ねてみました。

「祖父は兄の苦労を見ていたからか、フワフワしていたと聞いてます。
花街に入り浸ってたって(笑)
そんな祖父も亡くなり、若くして継いだ父は大変だったと思います。」

150年の歴史的財産ごと受継いだ健一さんは、先代達が苦労して八女茶の発展に貢献してきたからこそ、これほどの歴史的資料が残されていることを知っています。

貴重な資料を気軽に見れるように史料館を開放している矢部屋許斐本家。
この秋には作業場を改装した史料館とカフェもオープン予定だそうです。


許斐本家
〒834-0031
福岡県八女市本町126(MAPあり)
TEL 0943-24-2020
OPEN 09:00~18:00
(元旦休み、その他臨時休業あり)
website http://www.konomien.jp

許斐本家

八女茶 玉露

六代目許斐久吉 焙炉式 玉露【茶葉/TB】
¥1,500(税抜)〜

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八女茶 焙炉式煎茶

六代目許斐久吉 焙炉式 煎茶【茶葉/TB】
¥1,200(税抜)~

お買いもの

八女茶 煎茶

六代目許斐久吉 煎茶【茶葉/TB】
¥600(税抜)〜

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八女 和紅茶

六代目許斐久吉 和紅茶【茶葉/TB】
¥1,200(税抜)~

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チクチック

地域・地方の魅力は、そこで暮らし営む「ひと」の魅力だと思います。
その魅力は日本中、世界中にありますが、まずは自分たちが暮らす福岡県ちくご地方に目を向けました。
そして、市町村単位ではなく、自分たちが日常的に気軽に行動できる、例えば車で1~2時間で移動出来るような、もっと感覚的に大きなエリア。
「自分の地元」と言えるようなエリアを自らの足を使って取材する形で発信しています。

地域の読みものとしてのWEBマガジン「チクチック」を担当している
オガワが取材に行ったり、イベントで見たり、お店で聞いたことを記事として書き留めてます。