おいしいお店の物語

ぱんのもっか

高知県から福岡県吉井町にやってきた吉岡さんご一家。
知合いのいない場所から始まったパン屋さんの物語。

福岡県うきは市吉井町にあるパン屋さん「ぱんのもっか」
福岡のパン特集があると必ず載っていると言ってもいいほどの人気店です。
取材に伺ったちょうど1年前、2014年4月20日に現在の場所に移転され、店名を「ぱんのもっか」として現在の場所に新規オープンしました。

ぱんのもっか

吉岡 亮次さん:
「僕は高知市で10年間、大きなパン屋さんで働いていたんです。
自分の店を持ちたいってのはずっとあって。でもお金もないし、借りれないし…
居抜きでどっかないやろか?って探してたら、嫁さんの母親の親戚にあたる人が吉井でパン屋してて、お店を貸してくれると連絡をくれたんです。」

それが、吉井町の老舗パン屋さん「モナパン(欧風パン モナ)」でした。
「名前は残してほしい」ということだったのと、ゆくゆくは自分で店をという気持ちから、亮次さんは名前を「モナパン」のまま4年間、営業したのです。
麻衣さんの親戚とはいえ、麻衣さんも亮次さんも全く土地勘がなく、一度下見にやって来たとき「何もない」という印象だった吉井町。
でも、物が溢れてる所が苦手だという2人は、ここに来ることを決めました。

「『やるしかないっ』って気持ちでした。もう仕事やめてたし。」
「いやいやいや‥‥」
「あ、辞めてなかったか? でも、気持ちが!(辞めるって)決めちゃってたから。」

ぱんのもっか

決めたのはパン屋をするために吉井町に来ることだけではありませんでした。
当時、麻衣さんは妊娠中で大学院に入学することが決まっていたのです。

麻衣さん:
「子どもを妊娠した時に大学院に行こうっち思って。
臨月で受験して、合格通知を貰って入学までに出産し、娘が5カ月の時に入学しました(笑)
入学する!って時にモナパンの連絡がきて、『あたしは辞めれん!』って。
彼は最初、単身赴任だったんです。」

麻衣さんは、そう話してくれましたが、一緒に行く話ももちろんあったそうです。
いろんな葛藤を抱え、1人前に進もうと吉井町にやってきた亮次さん。

「やっぱヨソから来たから、周りの人にどんどん自分から挨拶に行って受け入れてもらえるように。」
「話を聞くと『どこどこのお店に挨拶に行って、仲良くなって…』って。
 そんな社会性のあるタイプじゃなかったのに(笑)」

「子どもがまだ0歳?あの時。
嫁さんは大学院で、僕も仕事を辞めてて‥やるしかない状況だったんですよね。」

ぱんのもっか
雨の日でもお昼をすぎると人気の商品はもうなかったりします。

「僕が来た5年前は、今ほど店は多くなかった。
 まぁぼやさんと、ケーキ屋のRENさんぐらいでした。」

「家でも『吉井町をどうにかせないかん』って話を、まぁぼやさんとRENさんとずーっとしよったよね。」

人通りも少なく、集客も少なかった当時の吉井町。
「この町でやってもダメよ、福岡に出て行かないと。」そう言われたこともありました。

「まぁぼやさんがテレビに出て、行列がすごいできるようになったんです。
味は美味しいから、1回食べればわかるんで。
『ダメだ』と言われてたことを見事打ち破って見せつけてくれたんで、僕も頑張ろう!ってなりました。」

ぱんのもっか

モナパンがあった場所からすぐ近く、同じ吉井町に移転した「ぱんのもっか」のお店。
すぐ近くに移った理由、そして店名の由来とは?

「ここ空き地だったんです。
娘が保育園で初めて仲良くなったお友達のお母さんに『(お店を)探しよっちゃんねー』って話してたら『うちのお父さん、ここ持ってるよー』って。
だから、娘のおかげなんです。(笑)」

「モナパン」を卒業し、屋号を「ぱんのもっか」にして新しいお店をスタートさせました。
「モナパン」として常連客も増え、人気が出ていたのに屋号を変えた理由は?

「自分のお店をしたいというのが、やっぱりあったので。
 本当は『吉岡製パン所』って話やったんですよ。」

「もう『吉岡製バン所』でいくって。地鎮祭も吉岡製パン所でやったもんねぇ?」
「そうそうそう。
 でも、友達やお義母さんとかに『給食のパンを作る店っぽい』って言われて。」

「決め手は、高知に帰った時に彼のお母さんに猛反対を受けたんです。」

ぱんのもっか

そして、「ぱんのもっか」という名前をつけたのは意外な人でした。

「『もっか(木瓜)』って『花梨』の中国名なんですよ。」
「本当かどうかわかんないよ…」
「えーっ!今さら!?」

吉岡さんの娘さんの名前が花梨ちゃん。
麻衣さんは、『花梨』を店名に使いたいと思って調べているときに『木瓜-もっか』を見つけたそうです。

「ある日、業者さんと『もっかって響き可愛くないですか?』って2人で立ち話してて。」
「その会話、聞いとって。」
「あ、聞いとったと?
業者さんが『もっか、もっか…ぱんのもっか。これいいんじゃないですか?それでいきましょう!』って。」

「オマエが決めるなよ!って話です(笑)
 でも、嫁さんが気に入ってたんで。これに。」

子どもの名前とお店の名前は、めちゃくちゃ考えて凄く悩んだという吉岡さん夫婦。

「どっちも一生モノじゃないですか。」

子どもと同じくらい真剣に愛情を注がれたお店が誕生し、いま、吉井町の人気店として沢山の人に愛されています。

ぱんのもっか




ぱんのもっか
福岡県うきは市吉井町1127-5(MAPあり)
TEL 0943-75-3303
Facebookページ

OPEN 09:00~18:00
(パンがなくなり次第終了)
月曜・第2火曜日 定休
※駐車場あり

 


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About the author

チクチック

地域・地方の魅力は、そこで暮らし営む「ひと」の魅力だと思います。
その魅力は日本中、世界中にありますが、まずは自分たちが暮らす福岡県ちくご地方に目を向けました。
そして、市町村単位ではなく、自分たちが日常的に気軽に行動できる、例えば車で1~2時間で移動出来るような、もっと感覚的に大きなエリア。
「自分の地元」と言えるようなエリアを自らの足を使って取材する形で発信しています。

地域の読みものとしてのWEBマガジン「チクチック」を担当している
オガワが取材に行ったり、イベントで見たり、お店で聞いたことを記事として書き留めてます。