おいしいお店の物語 伝統を継ぐ物語

坂田屋

100年続く和菓子屋さんの伝統と挑戦のお店では
時を動かす和菓子が生み出されています。

柳川のお土産カフェ ムトー商店で度々目にする「きなこばんも〜」という気になるお土産がありました。
これを作っているのが同じ柳川の和菓子屋「坂田屋」さん。

坂田屋

観光地として有名なお堀の両岸には、昔の建物が残っており喫茶店やお土産屋さんが並びます。
その中に「お茶」と「だんご」のノボリが。
お茶は八女の老舗茶商「このみ園」さん。
坂田屋さん(沖端店)は、まるで和風のショコラティエのような店内です。

坂田将和さん:
「本店は違う所で100年やってるんですけど、ココは許斐さんに『隣空いてるけど』と紹介していただいて‥2月でちょうど1年になります。」

柳川の観光の力が落ちている。店もどんどん閉まっていく…それを何とかしたい。
そんな考えもあり、この場所でお店をやることにしたそうです。

「親父がわりと新しいことをするのに寛大で。この棚も親父が作ったんですよ。」

坂田屋

元々は別の場所で別の仕事をしていたという将和さん。

「僕は次男だし、兄が継ぐもんだと子どもの頃は思ってました。
でも、家の横に工場があるし、ずっと和菓子作りを見てきてたんで。
3年前、仕事を辞めて(柳川に)戻って来たんです。
親父は和菓子の世界が厳しくなっているのを感じてたから『継げ』とは言わなかったし、『仕事辞めて帰る』って言ったら猛反対されました。
でも、強引に辞めて帰ってきたんですけど(笑)」

洋菓子は進化をし続けて新しいのがどんどん出てくるけど、和菓子は昔の技術をいかに継承するかが大事な世界。
時が止まっている。と言う将和さん。

「僕は、若い人たちの中でもその時を動かしてやりたいんです。」

坂田屋

お店に入るとまず目に飛び込んで来る棚一面の木型。
これは落雁(らくがん)を作る時に使われる木型です。

らくがん木型
30〜50年使われてる木型たち。「桜の木とかで作られていて本当に丈夫です。」

「らくがんもお盆の時くらいしか、買わないですよね?
 それも食べずに川に(お供えとして)流す人が多くて…」

そんならくがんを柳川産大豆で作ったきなこと黒砂糖で滑らかに仕上げ、新しい茶菓子として発売したのが「きなこばんも〜」です。

「柳川は農産物も豊富で。
大豆の生産が福岡で1番なんです。全国でも上位に入る。
元々お土産というのは、その土地の物を使って作られていたんですよね。
どこででも作れるようなモノじゃない「柳川の素材」で作られたものをお土産品に持って帰ってもらいたいんです。」

坂田屋
こちらも、きな粉と黒糖を使ったらくがんのお菓子「まり音」

「『まり音』は、このきな粉と黒糖、和三盆の風味がガナッシュっぽくて。
香ばしいマカダミアナッツが合うと思ったんです。」

まり音

「らくがん」の食感とは思えないしっとりとした口当たり。
こんなに香ばしいマカダミアナッツは初めてじゃないか?というほどの香ばしさ。
言われないと「らくがん」をは思えないほどのお菓子です。

米せんぺい

昔は柳川のどこの家でもつくってた「米せんぺい」

ここ30〜40年は坂田屋さん1軒しか作らなくなったという柳川の郷土菓子「米せんぺい」

「昔はどこの家でも作ってたんです。
城下町には米が集まるから、保存食として(柳川で)広まったんですね。
手間はかかるし、誰も食べなくなって…売れ残りを捨てることも多かったんですけど。
80〜90代のおばあちゃんが『懐かしい』って。
『昔を思い出す』と涙を流して喜んでくれたんです。
そんな記憶を呼び起こすほどの食べ物をなくしちゃいけないなって思って。」

坂田屋
看板娘の下林さんと将和さん。

ムトーさんのおかげで色んな人に知ってもらえるようになって、とても感謝しているという将和さん。

「すごいですよね。僕は代々築いてもらったものがあるけど、一から1人で立ち上げるなんて。」

今まで築いてもらったものを自分の代で広げて次につなげたい。と語る将和さんには次の目標があります。

「和菓子といえばやっぱり餡子なので、餡を使った何か新しい和菓子を打出したいんです。
来年くらいには出来てるかも(笑)」

柳川の魅力がまた1つここから誕生しそうです。




坂田屋
坂田屋沖端店
〒832-0065
福岡県柳川市沖端町23(MAPあり)
TEL 090-5290-5551
WEBサイト

OPEN 10:00~17:00
水曜定休
※駐車場はありません。

About the author

チクチック

地域・地方の魅力は、そこで暮らし営む「ひと」の魅力だと思います。
その魅力は日本中、世界中にありますが、まずは自分たちが暮らす福岡県ちくご地方に目を向けました。
そして、市町村単位ではなく、自分たちが日常的に気軽に行動できる、例えば車で1~2時間で移動出来るような、もっと感覚的に大きなエリア。
「自分の地元」と言えるようなエリアを自らの足を使って取材する形で発信しています。

地域の読みものとしてのWEBマガジン「チクチック」を担当している
オガワが取材に行ったり、イベントで見たり、お店で聞いたことを記事として書き留めてます。