おいしいお店の物語 こだわりの商品を作る物語

田中羊羹本舗

昔ながらの羊羹屋を継ぎ、子どもから年配の方まで笑顔で集まるお店にした原田 亜希子さん。

矢部川を挟んで隣接する筑後市とみやま市。
広大な公園と清流、温泉地、そして大きなクスノキ林といった自然に囲まれ、かつては大賑わいをみせた一帯。
天然の炭酸水「鉱泉水」がいまもなお湧いていて、近所のご年配の方が飲料用に汲みに集まる鉱泉場も、川を挟んで筑後船小屋側とみやま市側に2つあります。

長田鉱泉場
長田鉱泉場。7時〜19時まで、どなたでも汲みに来れます。

鉱泉水とは温度の低い温泉です。なので成分は温泉と同じようなもの。
江戸時代末期より飲まれるようになったという記録が残っているそうです。
足湯などは、ロイマチスや関節炎などに効き、飲用は胃腸疾患、便秘などに特効があるそうです。

「船小屋と長田では、少し味がちがうんですよ。」

みやま市側、「長田鉱泉場」の近くで羊羹屋を営む原田さんが教えてくれました。
有馬温泉と同質の炭酸湧水なので、しっかりクセのある味です。
そのまま飲むのは、苦手な方も多い鉱泉水を、原田さんはイベントなどでカルピスを鉱泉水で割って飲む方法を教えてくれました。
これが、とんでもなく美味しいので、鉱泉水を持ち帰られたら是非、試していただきたいです。

長田鉱泉場
鉱泉場の近くには、足湯や休憩所もあります。

田中羊羹本舗
同じ通りにある田中羊羹本舗さん。
この右側にずっと行ったところに、上記の鉱泉場があります。

内野樟脳さん、ズッペンコーポレーションさんも話してましたが、瀬高町はとにかく水が豊富な町。
田中羊羹本舗さんでも、井戸水を使って昔ながらの羊羹が作られています。

田中羊羹本舗

原田さんは嫁ぎ先ではなく、ご実家が田中羊羹本舗。
嫁いで実家を出、別のお仕事をされていた原田さんが、6年前に旦那さんと2人とも仕事を辞めて羊羹屋を継ぐ決心をします。

「父が倒れたんですよね。で、長い入院になって。
その時は、実際、もう家に帰ってこれないかも知れない…という感じだったんですね。
それで、羊羹屋をつぶすわけにもいかないって、弟と私と旦那で週末ここに来て、羊羹を作りだしたんです。」

お父さんが自分の覚書としてメモしていたノートを元に、3人で悪戦苦闘しながら羊羹作りを覚えていった原田さんたち。

「別にレシピとして書いてるわけじゃないから、全然わからないんですよ(笑)
それこそ、何グラムとか単位が書いてるわけじゃないので。
しょっちゅう父に電話して、聞きました。
こっちの方言で『はなくそがつ』ってあるんですよ。『ちょびっと』っていう意味。
『はなくそがつ』って父が何遍も言うばってん(笑)
『だから、それどれくらい!?』って(笑)」

田中羊羹本舗

「うちは豆を仕入れて、豆から粉を作るんですよ。餡子の粉を。
普通は餡子って練ってあるじゃないですか。
豆を仕込んで、ふやかして、漉して、粉だけにして。
粉に漉したモノを寒天で固めて羊羹にしてるんです。
『あんこ』の『こ』は『粉』なんですよ。」

この餡粉の作り方から知らない3人が、レシピを見たり、お父さんに電話したりしながら奮闘していきます。

井戸水を汲みあげるポンプなど古い機械も多く、メンテナンスやクセを見ながらの作業。
慣れないうちは、機械が壊れたりもよくしたそうです。

「うちの主人が、羊羹屋をやるために仕事してきたのか?ってくらい今までの職が役に立ったんです。
いわゆる『器用貧乏』で(笑)
機械も直せるし、水道もわかる。
私と弟は機械をよく壊すので(笑)」

昔ようかん

最初の頃は、常連さんに「親父さんが炊きよらんとやろ?味が変わったよ」と言われてしまうこともありました。
羊羹作りの難しさを知り、亜希子さんとご主人は会社を辞めて羊羹屋に専念することを決意します。

「弟は、当時会社の方も大変で『今は抜けられん』ってことで、私と主人が継ぐ事になったんです。
羊羹屋は5月〜10月は良い感じに暇なんですね。
だから、その期間を費やして『何とか作れる様にしよう』って。」

亜希子さんのご主人が感が良く、お父さんも様態が安定して週末帰ってこれるようになって見てもらえるようになり、羊羹作りがスムーズになっていきました。

「やっと今、(継いで)6年目になりました。
最初の頃『よー継いだねー』とか『お父さん安心しとっとやろー』とか、よく言われたんですけど、『今はまだ褒めないでください』っち。
『5年続けれたら褒めてください』って(笑)」

物を作れるかの作れないかの段階から、5年6年目になってやっと表に出ていけると自信を持ちはじめたところだと原田さんは言いました。


田中羊羹本舗
福岡県みやま市瀬高町長田2624-2MAPあり)
TEL:0942-52-3224
OPEN:10:00〜17:00
駐車場:長田鉱泉場近くにあります。

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About the author

チクチック

地域・地方の魅力は、そこで暮らし営む「ひと」の魅力だと思います。
その魅力は日本中、世界中にありますが、まずは自分たちが暮らす福岡県ちくご地方に目を向けました。
そして、市町村単位ではなく、自分たちが日常的に気軽に行動できる、例えば車で1~2時間で移動出来るような、もっと感覚的に大きなエリア。
「自分の地元」と言えるようなエリアを自らの足を使って取材する形で発信しています。

地域の読みものとしてのWEBマガジン「チクチック」を担当している
オガワが取材に行ったり、イベントで見たり、お店で聞いたことを記事として書き留めてます。