すてきなお店の物語 町を楽しくする物語

器と暮らし テカラ

店主・川口夫妻の暮らしの一部を開放したかのような居心地の良い空間のお店

器と暮らし テカラ

福岡県うきは市の市街地から離れた場所。
耳納連山の麓にポツンとある古民家を改装した雑貨屋さんは、そこに住む川口夫婦の求める「暮らし」のカタチでした。

器と暮らし テカラ

テカラを造った川口さん夫婦。
夫、竜也さんはフリーのデザイナー。
お店は主に、奥さまの美香さんが営んでいます。
竜也さんは福岡県柳川市出身、美香さんは八女市黒木町出身。
2人は結婚してしばらくは、竜也さんの実家に住んでいました。

竜也さん:
「(結婚した当時)まだ妹が高校生とかで一緒に住んでいて、総勢7人家族でした。」

美香さん:
「ご飯をちゃんと作ったことないのに、妹2人のお弁当を作るようになって(笑)
 しかも、みんな好き嫌い多いんですよ!(笑)」

「川口家に革命をおこしたね。」
「いかにして嫌いなものを食べさせるか、アレコレ工夫してました(笑)」

結婚後に同じブライダルの映像会社に転職した川口さん夫婦。
多忙な日々を過ごし、映像の技術は身につきましたが仕事のやり方に徐々に疑問がわき出しました。

「1つ1つの仕事をお客さまに合わせて丁寧にしたかった」

今なら、経営者としての社長の考え方も理解は出来ます。
でも、その方針に自分はどうしても合わない。
美香さんは竜也さんより先に会社を離れ、前々から2人でやりたいと思っていた雑貨屋さんの物件探しに専念します。

器と暮らし テカラ

美香さん:
「元々、2人とも小物を作っていたんです。私はポストカード、(竜也さんは)アクセサリーとか小物を。
『いつか、そういうのを売れるお店をしたいね』って言っていて。
でも次第に、いろんなイベントに出店して、そこで出会った作り手さんたちの作品を扱いたいなぁと思うように変わっていきました。」

ところが、実家から近い柳川市や久留米市などの不動産屋を巡ったり、インターネットで探してもピンとくる物件は見つかりませんでした。
そして2年ほど探し続け、息抜きに遊びに行った うきは市で「コレ!」という物件に思いがけず出会います。

竜也さん:
「テカラのバイブルになっている雑誌があるんです。
そこに(うきは市)吉井町の”四月の魚”さん、”ベザレル”さん、”井戸”さん、木工作家の山口さん4人が揃って写真に映っていて。
おんなじ場所で写真撮ろうって、撮りに行ったんです。バカップルみたいな感じで(笑)
で、好きなお店もあるし、イイ所だな〜とは思っていた。」

器と暮らし テカラ

この物件を見たとき、駐車場のスペースはジャングルのように荒れていて、建物もボロボロでした。
そんな状態なのに、美香さんは「ココがいい!」と気に入りました。
美香さんの実家が土木業、竜也さんのお父さんが配管を工事できるので、何とかなるというのがあったとはいえ
竜也さんのお父さんが「こんなボロ家を買って…」と不安になるほど(川口母談)の物件でした。

竜也さん
「さすがに、知りあいの大工呼んで(家を)点検してもらいましたけど。
 柱とか下まで無くてブラ下がってる状態だったし(笑)
 そしたら、屋根がしっかりしてるから大丈夫って。」

器と暮らし テカラ

建物の基礎部分はプロに任せましたが、後は2人で改装しました。
一から機材を揃え8ヶ月も掛けて造ったテカラは、細部まで川口夫妻が「イイ」と思うこだわりが詰まった居心地の良い空間です。

「結果、プロに頼むより高くついたけど(笑)」

お客さまがゆっくり商品を見てもらえるように「くつろげるスペース」としてある縁側は、雪も積もる”うきは”の冬でも陽当たりが良く、川口さん夫婦は裸足でした。

「床は『まるは油脂』さんの石けんワックスを使ってます。
 それから裸足の気持ち良さにハマりました。」

「屋根がよく考えられててスゴイんですよ!
 冬は陽が差し込んで暖かくて、夏は日差しが入ってこず縁側は日陰になるんです。」

器と暮らし テカラ

実家で皆一緒に仲良く暮らしていて、突然2人だけが知りあいのいない うきは市に移ることに迷いが無かったわけではありません。
そんな2人の背中をドンと押してくれたのは、竜也さんのお母さんでした。

美香さん:
「お義母さんにも夢があったんです。沖縄の離島に住むっていう。
 だから、『夢があるなら、全力でやっといで!』って応援してくれました。」

竜也さん
「先に僕らが夢を叶えたもんだから『ちっくしょー』て悔しがって(笑)
 今、自分の夢叶えるために独りで沖縄の物件探しに行ったりしてるんですよ。
 親父とばーちゃんどうするんだ?!っていう(笑)」

そんな話をしていたら、偶然にも竜也さんのお母さんがテカラに遊びに来ました。
(いつもフラリと遊びに来るそうで、この日もお2人は来ることを知りませんでした)

川口母:
「夢が現実になるとは思ってないよ?でも、だからと言って諦めて何もしないってのはイヤ。
 夢に近づくために、準備して行動するのが楽しいのよ!」

そんなお母さんを川口さん夫婦は「夢を応援してもらったから、お母さんの夢も応援したい。」と、感謝を忘れず温かく見守っています。

器と暮らし テカラ

作家さんたちの焼きものを扱うだけではなく、美香さんは「金継ぎ」(陶器を修繕する技法)を習得しています。

「器を作るのと、修繕するのは全く別モノの仕事なんです。
テカラのきっかけになった大事な器が割れてしまって‥
作家さんに「直せますか?」って聞いたら「直せない」って。
陶芸家さんは土を捏ねるから、言わばパン屋さんみたいなモノ。
『金継ぎ』は漆塗りのような作業なんです。
テカラで扱う器は、次々買い替えていくモノじゃなくて、永くずっと愛用してもらいたいモノだから。
壊れることもあるだろうし、金継ぎで修繕したらまた使ってもらえると思って習いに行きました。」

竜也さんも美香さんも「今、面白い仕事が出来ている」と口を揃えます。
安定してるけど同じ型にはまった仕事じゃなく、1つ1つ新しい仕事に出会えるのを楽しんでいるお2人。
「今、何か新しいことを始めてますか?」という質問をすると

美香さん:
「今、テカラの外、広い範囲のことをしてます。(裏吉井、奥浮羽の)マップを作ったり…
 古墳!!古墳のツアーをやってるんです!」

今までで一番テンションが上がった美香さん。
テカラのある福岡県うきは市には古墳群が沢山あって、古墳に興味を持った美香さんが「古墳巡りみたいなツアーをしたい」と市役所で働くイクノさんに話したら、「そういうことをしたかった!」と盛りあがったそうです。
貴重な壁画が残っている古墳など、普段は施錠されている古墳も見れる古墳ツアーの第1回は、美香さんの声かけで「古墳弁当」「古墳ドラ」まで食べられるオマケ付きで、定員以上の人が集まりました。

美香さん「役所のイクノさんの解説がとっても面白くて、お弁当やドラ焼き目当てだった人も最後は古墳にハマるほどです(笑)」
竜也さん「正直、古墳?って感じで付いて行ったけど、めちゃくちゃ良かったんです。」

第2回も催され、すでにリピーターまでいる「うきは古墳倶楽部」。
もっと沢山の人に、うきはの古墳の魅力を知ってもらいたい!と美香さんは色々計画中のようです。

古墳コーナー
店内にも密かに古墳コーナーが…

「無茶ブリって、よく言われます(笑)」

自分では何も出来ないから、出来る人に頼む。「こういうの作って」と云ったら、みんなやってくれる。
そう言いながら、色んな人を動かして色んなモノを生みだしていく美香さん。
古墳ドラも「キチココ」の中村奈穂さんに古墳の話をして生まれたモノ。
(奈穂さんは古墳が大好きでした)

「『こんなの出来る?』ってフワっとしたボール投げたら、みんなプロ(職人)だから、もの凄いクオリティのボールが返ってきます(笑)」

「自分では(旦那の)3歩後ろに下がっているつもり」という美香さんと、「すごい人見知り」という竜也さんの2人が、静かで落ち着く古民家の空間・テカラから、その印象とは対照的な行動力で、いろんな分野の人たちと一緒に福岡県うきは市で何かを仕掛けて盛り上げていこうとしています。


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第3回 青空マーケット
うきはドライブ【古墳編】
うきはドライブ【お買物編】
うきはドライブ【お食事編】


器と暮らし テカラ
839-1333
福岡県うきは市吉井町富永2261‐10
TEL 0943-73-9150
website http://tecara-te.petit.cc
Facebookページ

OPEN:平日  12:00-18:30
   土日祝 10:00-18:30

火曜日定休

駐車場あります。

 


インスタグラムではイベントのオフショットも載せてます!

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About the author

チクチック

地域・地方の魅力は、そこで暮らし営む「ひと」の魅力だと思います。
その魅力は日本中、世界中にありますが、まずは自分たちが暮らす福岡県ちくご地方に目を向けました。
そして、市町村単位ではなく、自分たちが日常的に気軽に行動できる、例えば車で1~2時間で移動出来るような、もっと感覚的に大きなエリア。
「自分の地元」と言えるようなエリアを自らの足を使って取材する形で発信しています。

地域の読みものとしてのWEBマガジン「チクチック」を担当している
オガワが取材に行ったり、イベントで見たり、お店で聞いたことを記事として書き留めてます。