とはいえ、大学受験の同じアトリエに通ってた頃と、京都市立芸術大学で「版画」を選考していたことくらいしか知らず、それぞれの道を歩んでいたのですが…(笑)
そして、bibliotic!を開店することが決まった直後、ひょんな再会から「ブローチを制作している」ことを知り、そのブローチに店主ともども惚れ込んだことで、お取り扱いをさせてもらうことになったのでした。

ブローチの台紙の左下にある1/1というのは、エディションといって「世界にひとつだけ」という意味があります。
ひとつひとつデザインが違うもの、絵画の世界からぽとりと落ちたカケラのようなブローチをコンセプトで作られる理由を尋ねると
mami satoさん:
「芸大を卒業してからは、広告や靴下のデザイナーとして働いていました。
仕事は面白く、やりがいもあったけれど、量産され、在庫になってしまうと値段が下がって処分されてしまうことが悲しくもありました。
だから、自分の手で生み出すものは世界にひとつしかないものを作ろう、と。」

mamiちゃんが、ブローチを作り出したきっかけは、モーネ工房で(※1)の文化祭。
(※1 京都にある『工房と寺子屋とギャラリー』が一緒になった場所。ワークショップなども開催している)
いろんな素材で試作をして、できあがったブローチを小さな箱に入れて出品したのがはじまりだったそうです。
「自分の手で、自分の好きを表現したい。
そしてそれが伝わるのか試してみたいと思ったから。」

油絵具は乾くのに3日かかるので、油絵具を使うブローチから制作を進めます。

油絵具を塗った面に竹串で絵を描いていきます。
版画の技術がそのままブローチになっている。と、mamiちゃんは言います。
「いつかブローチを「版」にして、版画を制作してみたいと思っています。
ブローチと版画を並べて展示してみたいなと。」

ペインティングナイフでモデリングペーストを塗っているところ。
ナイフは学生時代から使っている道具です。

モデリングペーストにも、竹串で描画していきます。
「好みの尖り具合に調整できるので、一番いい。」
2018年現在、600を越えるデザインを生みだしている mamiちゃん。
そのアイデアはどうやって生みだされているのでしょう?
「まずは作りたいモチーフやイメージを文字にします。
その後にラフスケッチ。
形がイマイチわからなかったり、確認したいものはインターネットで画像検索したり、図書館へ行ったりして調べます。
探しものの途中の寄り道でひらめくことも多いです。
そういう余白の部分が作っていて楽しい。」

色のイメージが、はっきりしている時はメモをします。

タイトルも下絵段階でほぼ決めています。
「ラフはコピー用紙に描きます。
スケッチブックみたいなつながってる紙だと、緊張して伸び伸び描けない性分です。
ラフの後、ブローチの下絵として、クロッキー帳に清書していきます。
輪郭をしっかりと決める感じです。」

mamiさんの大学時代の版画作品。
「緑のキャベツみたいな部分にモデリングペーストを使っています。
そこ以外はリトグラフです。」
自分のブローチが、いろんな場所でいろんな人の元に旅立っていく時の気持ちを、最後にmamiちゃんに聞いてみると
「とっても嬉しい。
いろんなデザインの中からお気に入りのひとつを選んでもらえたことが心から嬉しいです。」

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